ペロブスカイト太陽電池の亜熱帯環境下におけるタイ国内初の実証事業を開始!

株式会社マクニカ(港北区)

macnica

1 事業概要

亜熱帯環境下におけるペロブスカイト太陽電池導入実証

2 国・地域(都市等)

タイ国 バンコク都内他

3 SDGsへの貢献

4 事業化の道のりと実績

(1)現地課題と進出経緯

タイ王国最大の都市であるバンコク都では、人口と経済活動の集中に伴いエネルギー消費量およびCO₂排出量が国内の他都市に比べて突出しており、都市レベルでの脱炭素化が重要な課題となっています。特に、バンコク都で発生するCO₂排出の95%以上をエネルギー部門・運輸部門が占めており、これら分野におけるエネルギーのグリーン化が不可欠です。このため、バンコク都は2030年までに約1,000万トンのCO₂削減を目標とし、屋根上太陽光発電の導入促進や省エネ機器の普及によるエネルギー効率向上、EVへの転換や公共交通利用の促進を進めています。目標達成には上記取組に加え、新技術の導入および多様なステークホルダーとの連携が鍵を握ると考えられます。

横浜市は、これまでバンコク都との都市間協力事業の一環として都市間連携ワークショップを開催してきました。中でもワークショップ内ではビジネスマッチングの機会を積極的に設けて企業間の交流を後押ししてきました。2022年10月には、タイ国で不動産開発や太陽光発電事業を営むSENA Green Energy Co., Ltd(以下、SENA社)が来日する機会を捉えて、一般社団法人YUSAが開催したビジネス交流会を開催しました。これにYUSA会員企業である株式会社マクニカ(以下、マクニカ)が参加し、両者間の協議が始まりました。

2024年6月には、横浜市とバンコク都が「横浜・バンコク 脱炭素都市間連携ワークショップ」を開催しました。このワークショップでは、環境省の支援のもと開催されたもので、横浜市とバンコク都から両首長が参加し、バンコク都がエネルギー及び交通分野の温室効果ガスの排出削減にむけた行動計画「エネルギーアクションプラン」が公表されました。バンコク都のエネルギーアクションプランの発表にあわせて、両者は、次世代型の発電技術であるペロブスカイト太陽光発電システムの実装に向けた協働について合意したことを発表しました。そして、環境省の実証事業制度に採択され、タイ国内初の実証事業の実施に繋がりました。

■マクニカ株式会社:

同社は、IT企業等が集積する横浜市の新横浜駅地区に本社を構え、半導体、サイバーセキュリティをコアとして、最新のテクノロジーをトータルに取り扱う、サービス・ソリューションカンパニーです。世界28か国/地域91拠点で事業を展開、50年以上の歴史の中で培った技術力とグローバルネットワークを活かし、AIやIoT、自動運転など最先端技術の発掘・提案・実装を手掛けています。

■SENA Development Public Company Limited/ SENA Green Energy Co., Ltd: 

タイ王国で初めて全戸に太陽光発電パネルを設置した不動産ブランドとしてスタートしました。その後ゼロ・エネルギー住宅、省エネ性能と断熱性能が高いマンション、そして最近では太陽光パネルを備えた屋根と蓄電池システムを組み合わせたソリューションを提供しています。また子会社であるSENA Green Energy Co., Ltdは、持続可能な未来を作るため、クリーンエネルギーの最大限の活用に取り組んでおり、年間54万トンのCO₂削減を目指しています。

(2)実証事業の概要

ペロブスカイト太陽電池は、「軽い・薄い・曲がる」といった特性から、これまで太陽光パネルの設置が難しかった建物の壁面などへの設置を可能にし、太陽光発電の設置面積を大幅に拡大することが期待される技術です。一方で、熱や湿気、紫外線などの影響を受けやすく、年間を通して高温・湿潤な亜熱帯環境下での性能検証が求められていました。また、タイ王国内ではこれまでペロブスカイト太陽電池の導入実績がなく、現地の電気規格に適合するシステムがないことも導入障壁となっておりました。

上記の背景の下、高温・湿潤な環境下におけるペロブスカイト太陽電池の適合性検証事業が、環境省の令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業」に採択され、2024年度より3年間の期間で実証事業が開始されています。本実証事業においては、マクニカが代表事業者として、共同実施者であるSENA社と2社で進められます。

本事業は、バンコク都内近郊において、ペロブスカイト太陽電池システムの実証を行うものであり、タイの高温多湿な気候や、大量の紫外線、PM2.5による大気汚染といった環境条件に耐えうるシステムの構築と出力特性や耐久性に与える影響の評価が行われる予定です。

2024年度は、タイ王国の電気規格調査を実施し、現地規格に適合するシステムの構築と稼働検証を完了するなど、システムをタイ王国で稼働させるための基盤整備が進められました。また、SENA社が保有するタイ王国の住宅の屋上にシステムを取り付け、初期的な評価が実施されました。

2025年度は、本格的な実証と運用体制の確立が進められています。SENA社が開発した宅地内の管理棟の屋根や壁の全方位にペロブスカイト太陽光発電システムが設置され、「耐久性」「発電性能」を検証されるとともに、IoT機器との接続による出力モニタリングを通じて、メンテナンス体制の確立について実証が行われています。

5 本事業で活用した公的支援制度等

支援制度等事業名実施者調査報告書等
R6年度環境省二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業タイ/亜熱帯地域におけるペロブスカイト太陽電池システムの実証事業株式会社マクニカ実施中

6 参考外部リンク