診断結果から適用技術までをトータルで提案して省エネ・GHG排出削減に貢献!!

株式会社オオスミ(横浜市瀬谷区)

1 事業概要

民間工場への省エネ・ワンストップサービス業務

2 国・地域(都市等)

ベトナム国ダナン市

3 SDGsへの貢献

4 事業化の道のりと実績

(1)現地課題と進出経緯

ダナン市は人口100万人を抱えるベトナム国中部の中心都市であり、製造・物流の拠点として注目が集まっています。また、近年は観光都市としても有名になり、観光客数も急激に増加しています。2011年のASEANの環境優秀都市を受賞するなど環境に配慮したまちづくりの推進に力を入れています。

急成長するダナン市ではホテルやオフィスの建設が過熱化し、民生部門のエネルギー使用量が急激に増加しています。下図のとおり、2010年からの6年間において、電気消費量は約1.5倍に増加しており、電気料金も上昇傾向にあります。このため、省エネルギー対策は早急に対応するべき都市課題の一つになっています。

オオスミは、2013年4月に横浜市が主催したベトナム・ダナン市への合同調査に参加し、ダナン市で環境問題が顕著になってきていることを実感しました。そこで、同社の環境技術で環境対策に貢献できないか検討することになりました。

都市化が進んでいる様子

(2)JICA案件化調査、普及・実証事業の実施

同社は初めに横浜市内で主要事業としている土壌汚染を簡易測定する技術展開を目指しました。しかしながら、この技術は国際協力としては有益ながらも、ビジネスとして自立・展開性が見出せませんでした。そこで、横浜市との協議を重ね、同社が持つ別の強みであり、産業成長が進むベトナム国の民間セクターからの需要が期待される省エネルギー技術を主なターゲットに据え、2013年にJICA案件化調査、その後、普及・実証事業にも採択されました。

これらJICA事業の成果としてダナン市商工局(DOIT)向けの省エネ診断マニュアルが整備されました。また、調査・実証事業を通じて、省エネ化のポテンシャルの高い施設の特定を進めました。特定された施設の一つにダナン市水道公社(DAWACO)が所管する浄水場があります。特にポンプ設備は非効率な稼働をしていることが確認されたため、2015年に横浜市や公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と連携してJCM案件形成支援調査事業を行い、横浜ウォーター株式会社とDAWACOによるJCM設備補助事業として事業化することで、同浄水場の省エネに貢献しました。

(3)省エネ診断サービスの事業化

オオスミは、JICA案件化調査や普及・実証事業での成果をいかして、省エネ・ワンストップサービスのビジネス展開に着手しました。このサービスは、ビルや工場、ホテル、病院等の施設全般のエネルギー利用状況を調査し、その施設に合った省エネルギー対策や対策工事を提案するコンサルティングサービスです。 

省エネ・ワンストップサービスは、施設のエネルギー利用量を削減することによって、電気代等の運営コストの削減メリットを施設所有者にもたらすとともに、温室効果ガス排出削減という地球規模の課題にも貢献する事業として注目を集めています。また、現地の省エネニーズと日本(特に横浜市)の優れた技術や製品とのマッチングにも取り組んでおり、本邦企業のベトナムへの販路開拓にも繋がるものと期待されています。

オオスミは、同事業の展開のため2018年にダナン市に駐在員事務所を開設しました。駐在員事務所長が常駐しているほか、技術担当の日本人技術者が不定期にダナン市を訪問し事業を進めています。さらに、ベトナム人技術者2名を雇用し、ダナン市に留まらずハノイやホーチミンなどでの事業展開にも取り組んでいます。

5 本事業で活用した公的支援制度等

支援制度等事業名実施者調査報告書等
平成25年度外務省委託費事業(案件化調査)ベトナム国簡易測定法を用いた省エネ診断対策提案事業および環境教育推進の案件化調査(2013-2014)株式会社オオスミ・日本工営株式会社共同企業体報告書
JICA中小企業海外展開支援事業(普及・実証事業)  JCM「ベトナム国簡易測定法を用いた省エネ診断技術及び省エネ効果の普及・実証事業株式会社オオスミ  報告書
平成27年度環境省アジアの低炭素社会実現のためのJCM案件形成可能性調査事業横浜市・ダナン市の「持続可能な都市発展に向けた技術協力」によるJCM案系形成支援調査事業(2015-2016)(公財)地球環境戦略研究機関、みずほ情報総研株式会社、株式会社オオスミ、横浜市(Y-PORTセンター)報告書