
概要
市内外の企業・市民団体等のSDGs 達成に向けた取組を後押しするため、事業者の取組を環境・社会・ガバナンス・地域の4分野30項目で評価し、「最上位・上位・標準」の3段階で認証する制度。持続可能な経営等への転換や、投資家・金融機関による投融資判断への活用等の自律的好循環の形成を目指す。
実施期間
2020年8月~
実施機関・ステークホルダー
横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局、ヨコハマSDGsデザインセンター、民間企業(金融機関含む)、各種団体(NPO法人、市民活動団体)など
背景・目的
人口約377万人の横浜市は起伏に富んだ地形であり、多くの住民が郊外部に居住している。
高齢化率も約25.2%であり、移動手段の確保や地域の活性化など、多様な課題を抱える「課題先進都市」でもある。
これまで環境や高齢化への対応等、全国のモデルとなる取組を実施してきた経緯があり、今後もSDGsを各施策に反映し、広く展開していくことで、日本の地域、さらには世界共通の課題の解決への貢献を目指していく。
横浜市では、11.5万を超える事業所で、約167万人もの方々が働き、優れた技術・サービスを持つ企業や、最先端の研究開発に積極的に取り組む企業も多く立地しており、産学官連携による共同研究も活発に行われている。
一方、市内事業所の95%以上を占める中小企業を対象としたアンケート(2021)において、「SDGsへの貢献の視点を持った経営、事業活動を行っている」と回答した割合は約15%と少なかった。世界的に拡大しているESG投資の状況や、我が国における今後のGXの推進の方向性等を踏まえると、今後市内中小企業等が持続可能な経営を目指していくためには、脱炭素含むSDGsの取組推進は急務である。
本制度の趣旨は、SDGs達成に向けて積極的に取り組む事業者を市が認証し見える化することで、金融機関からの融資や、投資家によるESG投資等の判断への活用につなげるほか、人材の確保、新たな顧客・取引先等の拡大等を通じて、持続可能な経営を支援することである。
実施内容
【認証申請】
・毎年1~2回程度募集を実施しており、これまで延べ13回認証を実施(2024年度申請受付:7月(第13回)(実施済)、12月(第14回))
・ESG及びLocalの4つの分野から、30のチェック項目について、申請者による自己チェック内容を踏まえ、中小企業診断士によるヒアリング及び外部有識者による意見などを踏まえ、市が評価・認証する。
・企業だけにとどまらず、地域に根差す市民活動団体やNPO法人等によるSDGs達成に向けた取組についても適切に評価できるよう、チェックシートは企業用と各種団体用の2種類を用意している。
・SDGsウォッシュを防ぐために、なぜ企業全体、組織全体でSDGsに取り組んでいるのか等の企業ビジョンを含めてヒアリング実施するとともに、認証の評価基準についても、時流に合わせ、改訂されうる。
・認証期間は、認証を受けた月から4年間(認証日から4年が経過する日以降の最初の3月31日まで)。期間中に、より上位の認証取得を目指し再度申請(ランクアップ申請)することも可能だが、容易なランクアップを防ぐため、どの項目が前回の申請時と比べ変わったのか等について十分なヒアリングを実施する。
・更新は何度でも可能。・2023年度に、申請の自動受付や、取組の自己チェック機能を備えた認証システムに切り替え、事務の効率化により申請数の拡大を図るほか、自動化により削減できた人的コストを取組相談やコンサルティング等に活用し、事業者の更なる取組推進につなげている。
【認証事業者に対するフォローアップ】
・デザインセンターにおいて、認証申請に向けた相談対応を随時実施しているほか、認証取得者に対しては、評価結果についてフィードバックを行い、希望に応じて、コーディネーターが、今後の取組に関するコンサルティングを実施。
・認定事業者のプロモーション支援として、事業内容やSDGsに関する取組等を、横浜市及びデザインセンターのホームページに掲載。
・自社・自団体の取組をPRできる交流会等に参加することができ、事業者間での情報共有やマッチングを推進。
・評価項目に応じたアドバイスを行うサポートメニューを提供(SDGs取組研修、脱炭素経営取組セミナー、コンプライアンス研修等)。
・大手金融機関や地域金融機関等の13社が参加する「Y-SDGs金融タスクフォース」を2021年7月に設立し、認証制度の活用を通じた事業者へのSDGsの普及・取組推進に向けた議論を実施。
成果・影響
【認証実績等】
2024年10月1日現在、延べ769者を認証(最上位82者、上位161者、標準526者)
2021年7月、Y-SDGs金融タスクフォース(SDGs達成及び脱炭素社会実現に向けて取り組むための金融機関等との協議体)設立。2022年3月、国の「 第1回地方創生SDGs金融表彰」を受賞。
【認証事業者へのメリットの拡大】
前述の認証事業者に対するフォローアップのほか、本市入札制度における加点、中小企業向け支援制度「SDGsよこはま資金」での信用保証料軽減、 SDGs・脱炭素化に資する事業への融資における利子軽減、評価項目に応じた各種サポートなど、様々なメリットの創出・拡充を実施してきた。
これらのメリットの提供等により、SDGsや脱炭素に積極的に取り組む事業者を支援することで、持続可能な経営、さらには市内経済活性化や地域課題解決につなげることができると考えている。
関連動画
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