
概要
地域内で資源を循環させることで脱炭素化と循環経済を推進する、2024年に発足した官民連携の取組。
実施期間
2024年~
実施機関・ステークホルダー
製造業、小売業等消費者に商品やサービスを提供する産業(動脈産業)、製品が廃棄物等となった後にリサイクル等を行う産業 (静脈産業)、横浜市資源循環局
背景・目的
横浜市は、人口約377万人を抱える日本最大の政令指定都市であり、東京湾に面した国際都市として発展してきた。都市機能が高度に集積する一方で、かつては大量生産・大量消費・大量廃棄型の都市構造が形成され、廃棄物の発生量も多く、処理体制の強化が求められてた。こうした中、横浜市では2002年に策定した「横浜G30プラン」に基づき市民・事業者によるごみの分別や事業者によるリサイクル技術の開発・導入などにより分別・リサイクルを進め、目標であるごみ量30%減を計画より前倒しで実現したほか、2010年に策定した「ヨコハマ3R夢プラン」では3R行動の浸透を図り、廃棄物量を減少させてきた。現在では、循環経済への移行や脱炭素社会の実現といった社会的潮流を背景に、横浜市には都市としての責任ある資源循環の仕組みづくりが求められている。
こうした背景の下、廃棄物処理業者は、プラスチックの再資源化やバイオマスの活用など処理技術の高度化を通じて、循環経済への移行や脱炭素社会の実現に貢献したいと考えている一方、廃棄物処理業が成長産業として発展するためには、製造業との連携や地産地消型の資源循環の取組の強化が課題となっている。
そこで、市と廃棄物処理業者は約1年間議論を重ね、それぞれが抱える課題を共有し、2024年、市内事業者7社と横浜市が協定を結び、YRCプラットフォームが発足した。YRCプラットフォームを通じ、横浜市における持続可能な資源循環の構築と資源循環による脱炭素化への貢献を目指し、地域の事業者の知見とネットワークを活かし、事業者と横浜市が一体となって官民連携の取組を円滑に進める体制を整えることで、廃棄物の再資源化とリサイクル率の向上につながる、業種間の連携による新たなビジネス創出を図る。
実施内容
YRCプラットフォームでは、持続可能な資源循環モデルの社会実装につながる新たなビジネスの創出に取り組んでいる。
具体的な取組は以下の通り。
(1)セミナーや広報によるビジネス提案の促進
2024年11月にキックオフイベントを開催し、製造業・廃棄物処理業・DX事業者による講演や、環境省・経済産業省を招いたパネルディスカッションを通じて、課題共有と意識啓発を図っている。さらに、各種セミナーや広報活動を通じて、相談や提案の促進を行っている。
(2)公民の専門性を活かしたコンサルテーションと事業者間のマッチング
寄せられた提案に対しては、横浜市と民間事業者がそれぞれの強みを活かしながら、課題の抽出、法的整理、スキーム構築、実証実験の場の提供、関係者間のマッチングなどを実施している。
(3)中長期的課題に関する常設の検討会
プラスチック対策や太陽光パネルのリサイクルといった中長期的課題に対応するため、常設の検討会を設置し、継続的な議論と制度設計を進めていおり、これらの活動は、進捗は定期的に関係者間で共有され、改善が行われている。
こうした取組を一過性のものにせず、持続可能な仕組みとして定着させるために、今後の継続に向けて、行政と民間事業者の連携体制の深度化、制度の検討などを戦略的に進めている。
成果・影響
YRCプラットフォームのキックオフイベントには、当初の想定を大きく上回る数の事業者から参加申込があり、参加者からは高い関心と評価が寄せられた。これは、地域内外の事業者が資源循環に対して強い関心を持っていることを示すものであり、取組の初めの一歩として大きな成果といえる。
発足から約半年で13件もの提案が寄せられ、そのうち2件 で外食・宿泊業界とリサイクル・廃棄物処理業界の事業者間でマッチングが進行中である。YRCプラットフォームからの初めての成果として、2025年8月に、市内ホテルのブッフェで設定された時間内に消費されなかった果物を市内の動物園で動物のおやつとして活用する取組が実現する。この取組では食品ロスの削減と市域内での資源の循環利用を促進するとともに、来園者に食べ物の大切さや地域資源の活用について身近に感じてもらう機会を創出する。
その他の案件でも、行政による法的助言や、民間事業者によるビジネススキームの提案など、官民が連携して課題解決に向けて取り組んでいる。これにより、地域の中小企業や新規参入者にも新たなビジネス機会が生まれ、経済的・社会的な恩恵が広がることが大いに期待されている。





